甘い蜜
明日にでも葛城に聞いてみるか。
「………なんで、白紙にしたの」
落ち着いてきたのか、麻理亜は上半身を起こした。
「何、婚約していて欲しかったのか」
麻理亜の疑問に少し不機嫌になる。
当たり前のことなのにこの娘は分からないのか。
「っ違う、けど……」
「けど?」
「今更、だけど……婚約とか……何だかお金持ち、みたいな……」
「一応、親父は会社社長だ」
「?!」
目を見開く麻理亜。そんなに驚くことか?
別に大した事じゃないと思うんだが。