甘い蜜
「最初は……ここに置いてもらうだけで、良かった……」
邪険にしないで受け入れてくれた。
私の料理をおいしいと言ってくれた。
抱きしめてくれて……温もりをくれた。
私なんかそんな資格ないのに、沢山のものを与えてもらった。だのに、心が叫ぶ。もっと……もっと……って。
「敬夜さんの側は……居心地が良すぎるの……」
「………」
「どんどん欲深くなっていくの……」
そんな自分が嫌いで。
でも離れたくなくて。
婚約者が現れた時もこんな自分を見られずにすむと安心しても、離れたくない心の方が強かった。
「……いいじゃないか、欲深くったって」
嬉しいじゃないか。