甘い蜜
愛を知った麻理亜だったが、まだまだ心は満足していない。
渇望していた思いがまだまだ満たされていない。
「………いいの?」
「あぁ。嬉しいよ。麻理亜が俺から離れたくないと思ってくれているのが」
俺も離れたくないしな。
俺は、麻理亜の手を取る。
何も飾られていない指。
「後一年………そうしたら俺達は教師と生徒じゃなくなる」
後一年もないな。
数ヶ月だ。
「敬夜さん……」
「麻理亜……その時になったら、ここに、填めてくれるか?」
左手の薬指をなぞる。
その意味を理解した麻理亜は、一瞬で真っ赤になった。