甘い蜜
今現在。
俺達は、一軒の屋敷の前にいた。
「………ここ、こんなデカかったか」
「?敬夜さんの、家でしょう?」
「何年も帰ってなかったからな」
記憶の中にあるものと若干違うところがある。しかし、大方は記憶通り。
派手な西洋屋敷だと思う。余り日本には似つかわしくないと思うくらいに。
今日は、親父からの連絡通りに自宅に帰ってきていた。勿論麻理亜を連れてだ。
傍らでは緊張しまくっている麻理亜がいるが、俺自身も緊張していた。
自分の家に帰るのに緊張するなんてな。
本当、苦笑しかない。
しかし何時までも門前で立ち往生している訳にもいかず、俺は深呼吸をしてからインターホーンに手を伸ばした。