甘い蜜
自分でも自分がとった行動に驚くが、それよりも、山内の様子が可愛らしく見えて俺は小さく笑った。
「………何も聞かない」
「え?」
「けど、なんだか今お前を帰したらいけない気がする」
いつの間にか俺の腕は山内の背中に回っていた。
どうした、今日の俺はおかしいんじゃないか。でも、止まらない。止められない。
「…………先生は、本当に先生?」
「俺はそのつもりだったんだがな……お前の前だと教師っての忘れてしまう」
ぎゅっと背中に回した腕に力をいれた。
「………私、家に帰りたくない…」
いつの間にか山内の腕も俺の背中に回っていた。