甘い蜜
開くと、もう一つ指輪が入っている。麻理亜のより大きめの指輪。その隣には、麻理亜に嵌めた指輪が収まっていた窪みがある。
「それ、敬夜さんの………?」
恐る恐る麻理亜が聞いてくる。
俺は頷くと、箱を麻理亜に渡す。
「麻理亜が、嵌めてくれないか?」
麻理亜が箱を受け取ると、じっと指輪を見つめる。
「………」
そして、指輪を手に取り、俺の左手の薬指にそれをゆっくりと嵌めた。
「これで、ずっと一緒………?」
麻理亜が聞いてくる。俺は頷くと、体を浮かせて麻理亜との距離を縮めた。
コツンと額と額を合わせる。
「あぁ………ずっと一緒だ」
そう言って二人で笑いあった。