甘い蜜



――――――


『新婦の入場です』


アナウンスに合わせて音楽が鳴りだす。俺はゆっくりとバージンロードの先のドアを見つめる。


結婚式がこんなにも緊張するなんてな。社員全員を前に話しているときより緊張している。


そんな自分に苦笑しながら、ゆっくり開いたドアから入ってきた花嫁姿の麻理亜に、息を呑む。


純白のドレスに身を纏い、化粧をして白いベールに顔を隠しているその姿はとても神聖だった。


年を取るにつれて綺麗になっていった麻理亜はますます綺麗だった。


ゆっくりと近付いてくる。


その隣には親父が普通に緊張している素振りすら見られない。
それに感心しながら、俺は俺の目の前で止まった麻理亜を見つめた。


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