甘い蜜
教師と生徒を越え、初めて俺は人を愛した。そして麻理亜も俺を愛してくれた。
『――――それでは、誓いの口付けを』
神父の言葉に俺と麻理亜は向かい合う。
ベールを持ち上げ、麻理亜の顔を露わにさせる。
「麻理亜」
「敬夜さん」
小さな声で名前を呼び合う。
あの頃はまさかこんなにも麻理亜に溺れてしまうなんて考えもしなかった。
今、きっと麻理亜を失ってしまったら俺は生きていけないと断言できる。
それに見合うくらい、俺は麻理亜を愛せているだろうか?
自信はあるが………ない。
「麻理亜………愛している」
だから、せめて今は言葉で。
これからは俺自身すべてで。
更に愛していこうと思う。
「私も……愛しています……」
そう、笑いあって、俺達は誓いを交わした。
これからも、ずっとお互い愛していくことを。
―END―