甘い蜜



二回コールで相手に繋がる。


『どうした』

「麻理亜が出掛けたいらしい」

『分かった。迎えをやろう』

「いつも悪いな」

『敬夜の頼みだからな』


低い、感情の表れない声だが、龍は俺が頼めば何でも聞いてくれた。俺も何かお返しをしなきゃなと思う。


『じゃあな』

「龍、ちょっと聞きたいことがあるんだが」

『?なんだ?』

「最近、麻理亜頻繁に出て行くんだが、何してる?」


すると、龍はククッと小さく笑った。珍しいな。


『さあな……付き添ってるのは炯だしな』


< 266 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop