甘い蜜
二回コールで相手に繋がる。
『どうした』
「麻理亜が出掛けたいらしい」
『分かった。迎えをやろう』
「いつも悪いな」
『敬夜の頼みだからな』
低い、感情の表れない声だが、龍は俺が頼めば何でも聞いてくれた。俺も何かお返しをしなきゃなと思う。
『じゃあな』
「龍、ちょっと聞きたいことがあるんだが」
『?なんだ?』
「最近、麻理亜頻繁に出て行くんだが、何してる?」
すると、龍はククッと小さく笑った。珍しいな。
『さあな……付き添ってるのは炯だしな』