甘い蜜



「話はそれだけ?」


私の方を一切向かない山内さん。
チクッと何だか胸が痛んだ。


「あ……うん」

「そう」


何でだろう、と思った。私との間に線が引かれているような気がする。


そんなに誰かと話すのが嫌?私はおしゃべりしたいのに………


山内さんの隣に立ち尽くしたまま私は落ち込む。すると、ガラッと勢いよく教室のドアが開いたのでビクッと反射的にドアの方に目を向けてしまった。そこにいたのは、


「ま………山内」

「香山先生……?」


そこにいたのは、香山先生だった。


香山先生は、数学の先生。カッコ良くて教え方も上手で人気者。


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