甘い蜜
ソファーの上で呆然としている私を尻目に敬夜さんはさくさく動いている。
もう、出掛けるのは決定済みで、拒否権なし。
「………はぁ、」
仕方がない、と溜め息をついた後、ソファーから立ち上がって、敬夜さんに近づく。
「いるものは?」
「着替えとか」
「何時でる予定?」
「麻理亜が準備終わったら」
綺麗な顔で笑う敬夜さんに見惚れてしまうけど、そこで我慢して私は頷く。
私次第ならのんびり準備しようかな、と思ったけど、背中に鋭い視線が突き刺さるから無理だと悟る。