甘い蜜
運転手さんは行き先を知っているみたいで、何も聞かずに車を運転する。
「………本当、突然だね」
「何となく麻理亜と出掛けたくなった」
「仕事は?」
「片付けた。葛城の奴を満足させてやった」
そう自慢気に言うけれど、なんだか葛城さんの方が偉いように聞こえるのは私だけ?
社長は敬夜さん、秘書が葛城さんだよね?
「お前は分かってないな」
やれやれと敬夜さんが肩をすくめる。
「何を?」
「葛城のあの笑顔だ」
聞くとそれはもう葛城さんは最強みたいだ。