甘い蜜
「麻理亜」
敬夜さんが手招きするので側によると、こっちだ、と手をつないで歩き出す。この年になって正直恥ずかしいと思うけれど、嬉しいの方がまだ勝っている。
ゴツゴツした手なのに私の手を握るのは優しい。相変わらずきれいな指だなぁ。
そして左の薬指にはお互い誓い合った印が輝いていて、私は頬を緩ませる。
何しにきたのか、何時も立ち寄る雑貨屋でも百貨店も通り過ぎていく。
「敬夜さん」
「ん?」
「どこに向かってるの」
「ん―――ここだ」
へ?と突然止まった敬夜さんに合わせて足を止めると、目の前には綺麗な外装の店だった。
HEAVEN……天国?
「行くぞ」
「あ……」