甘い蜜



由のせいで気になって気になって仕方がなくて、授業がまったく身に入らなかった。三年の二学期ももうおわろうとしてセンターも近いのに………馬鹿由。


俺は、先生の話にとりあえず耳を傾けながら、チラッと窓端の席を見る。
そこは相変わらずの空席。鞄は置いてあるから学校にはいるっていうのは分かっている。この前の授業は居たからな。


はぁ、と溜め息が出る。


「私の授業で溜め息とは良い度胸」


ハッとして前を見ると、ギロリと先生が俺を睨んでいるのが目に入る。


やべ…こいつ、うるさいんだよな


「あー……」

「簡単すぎてつまらないのね。じゃあ、高野君。この問題を解いてちょうだい」


そう言うと先生は黒板に問題を書き始める。難しい数式がズラリと並んでいく。


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