甘い蜜
ちっ、敢えて難題出しやがって……だから結婚出来ないんだよ。
「さぁどうぞ?」
ニヤニヤと笑う教師に俺はだるさを覚えながらも席を立つ。
「まじ、鬼だよな」
「あんなん分かるわけないじゃん」
口々に憐れみの言葉を出すクラスメイト。
俺はそれを耳にしながら黒板の前に立ってチョークを手にした。
………数学得意で良かった。
心の中で安堵しながら俺は迷うことなくチョークを滑らせる。ものの五分くらいで答えにたどり着いた。
「出来ましたよ、先生」
「………」
チョークを置いて振り返ると予想していなかったのか教師は開いた口が塞がらない状況だった。
ざまーみろ。