甘い蜜
そんな中、彼女に近づく誰か。
「麻理亜ちゃん」
ひょこっと山内さんの顔を覗き込むと、山内さんは少し驚いたように目を見開く。
「………桜」
「数学の授業サボったでしょう?面白いことあったんだよ?」
周りと関わろうとぜず壁を作っていた彼女は最近他人と話すようになっていた。というか、一方的に、あの子、武沢 桜が山内さんに話しかけていて、彼女は時々相づちをうつ。
それだけでもかなりの変化だった。
一体なにが彼女を変えたんだろうか。
俺は二人の会話に耳をそばたてた。
「そんなに面白いことだったの」
「そう!高野君が先生を負かしたの」