甘い蜜



虚ろで潤んだ瞳は焦点があっていない。


「………麻理亜」

「寒……い……」


ふるりと体を震わせる麻理亜に俺は慌てて、自分はベッドから降りるとしっかりと毛布をかけ直して、ついでにクローゼットから使っていなかった薄手の毛布を一枚とりだしてかけた。


「麻理亜、まだ寒いか?」

「……だ……じょぶ……」


へらっと力なく笑う麻理亜にとりあえず頷いて俺は行動に移る。
リビングに言って体温計を取る。それを片手に寝室に戻って麻理亜の傍らに膝をついた。


「麻理亜、熱計って」

「………ん」


麻理亜に差し出すと麻理亜はそれを受け取ってもそもそと毛布の中で動く。それからしばらくすると、ピピピと電子音が響く。


「………39.0」


……風邪か?


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