甘い蜜
俺としては病院に連れていきたかったが、うるうるとした目で懇願してくる麻理亜に、俺の方が先に折れてしまった。
「………分かった」
ため息混じりに頷くと、麻理亜はホッと息を吐く。
病院に行かないなら、まず冷やさないとな。
氷枕と……冷えピタあったか?
俺は、家にいるならと出来ることをすぐに始めようとした。
立ち上がり、実行に移そうとした俺の服がまた引っ張られる。
「今度はどうした?」
「どこ………行くの」
不安そうに俺を見上げてくる。