甘い蜜
『なんだその言い方は……まぁいい。……調べたら、色々分かったんだが……』
「早くしろ」
麻理亜があがってくるかもしれないだろう。麻理亜に聞かれる前に切らないと。
チラチラとリビングの様子を窺う。麻理亜はまだ上がってくる様子はない。
まだ、大丈夫。
『なんていうか、この子可哀想だな』
「………どういう意味だ?」
ピタリと止まって全意識を携帯の、自分の耳に集中させる。
そして、次に学から発せられた言葉に、俺はただ聞いているだけだった。