甘い蜜
「………一体、どうしたんだ」
寝室から戻ってきた麻理亜は、どんよりとした雰囲気を漂わせながら俯いていた。
「………どうもない」
「嘘付け」
「………はあ、」
俺の前でため息か?
麻理亜は、重箱に手を置いてうなだれている。
俺は、コートを着ながら麻理亜に近づく。
「寝室で何があったんだ」
「何もないよ」
「明らかに何かあった」
麻理亜から重箱を奪い取って俺は、麻理亜を睨む。
何かあったなら心配するだろう。ましてや寝室でだ。
じっと睨んでいると麻理亜は、観念したかのようにポツリと呟いた。