甘い蜜
「とりあえず安定期に入るまでは無理をしないでくださいね」
医者の言葉に俺と麻理亜は頷いた。
安定期までとはいわない。出産まで無理なんてさせない。
「ありがとう、由麻」
「本当よ。せっかくの休みなのに」
カルテをパタンと閉じ、医者は肩を揉む。母さんはクスクス笑いながら、休みでも病院いるくせにと言う。
「そうだけど」
医者は、母さんから麻理亜に視線を移すと柔らかい笑みを浮かべる。
「大切な命だから、大事に育てて」
「………はい」
力強く頷く麻理亜に、俺も頷いた。
俺は、ゆっくりと麻理亜を立たせて、腰を抱く。