甘い蜜
「買い物?」
「そ。だから待っとけ」
「分かったよ」
じゃあ気をつけて来いよ。
麻理亜が頷くのを見て、俺は車を走らせた。
学校までそう距離はあるわけじゃない。大丈夫だろう。
俺はミラー越しに麻理亜の姿を気にしながら運転していた。
ざわざわとざわめく中に、確かにその姿はあった。
「席に着け。始めるぞ」
ガタガタと立っていた生徒が慌てて座り出す。
教壇で日誌を開きながら、チラッと様子を伺うと、ぼんやり外を見ているようだった。