甘い蜜



最後にリビングに行くと、窓辺に体育座りをして外を眺めている麻理亜がいた。


麻理亜がいたことにホッとしたが、月明かりの下、麻理亜は今にも消えてしまいそうなくらい儚く見えた。


ゆっくりと麻理亜に近づくが麻理亜は気づかないみたいだ。


「――――眠れないのか」

「!敬夜さん……」


ピクッと肩を震わせて麻理亜は俺を見上げる。


「どうした?」

「眠りたくなくて、」

「?」


眠りたくない?


「何だか、夢みたいで、怖い」


ポツリと、麻理亜は脅えているように見えた。



< 74 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop