甘い蜜
最後にリビングに行くと、窓辺に体育座りをして外を眺めている麻理亜がいた。
麻理亜がいたことにホッとしたが、月明かりの下、麻理亜は今にも消えてしまいそうなくらい儚く見えた。
ゆっくりと麻理亜に近づくが麻理亜は気づかないみたいだ。
「――――眠れないのか」
「!敬夜さん……」
ピクッと肩を震わせて麻理亜は俺を見上げる。
「どうした?」
「眠りたくなくて、」
「?」
眠りたくない?
「何だか、夢みたいで、怖い」
ポツリと、麻理亜は脅えているように見えた。