甘い蜜
「私は元々必要のない人間だったの!お父さんだけだったのにっ……私は、どうしたらいいのっ……!?」
「―――必要のない人間なんていうな」
俺は、麻理亜の腕をつかみ、勢いよく引っ張った。
胸の中がイライラと哀しみで一杯になる。
イライラは麻理亜の親に対して。哀しみは、麻理亜の言葉に対して。
「っだってっ私はっ誰にも必要にされてない………っ」
「そんなことはない。」
俺には、お前が必要だ。
この心を知ってしまった以上、麻理亜を手放せない。
「俺が麻理亜を必要としてる」
「………」
「本当は、母親に愛して貰いたかったんだろ?」