甘い蜜
必要ないと言われても、間違って産んだんだって言われても。
いつかは愛してくれるんじゃないかって。
「虚勢を張るな。素直になれ。……俺には、思う通り言えばいいんだ」
ゆっくりと背中に回した手で背中を撫でてやる。
しゃくりをあげながら黙っていた麻理亜はやがて泣きながらポツリと言葉を紡ぐ。
「………私には、あの人だけだったの」
「あぁ」
「私を見て欲しかった」
愛して、欲しかったの。
抱きしめて、欲しかったの。
でも私はいらなかった子。愛を求めたらいけないの。
「………この世に、愛されないで産まれてきた者はいない」