甘い蜜



「珈琲によけいなもの入れたらダメだと思う。」


砂糖とかいれたら不味くなる………


「同感だな」


一口、珈琲を飲む。
珈琲は苦いから珈琲というものだ。
同じ思考の持ち主がここにもいたとは。


しばらく二人の間に会話はなかった。カチカチと時計の秒針の音だけ。


「………そうだ。親御さんに連絡しなきゃな」


すっかり忘れていた。きっと心配しているに違いない。教師として一番先にしなきゃいけなかったことだった。


俺の言葉に珈琲を飲んでいた山内が反応した。


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