チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



「どこいったんだぁ!私の『ID』(身分証)はぁ~~!」


人混みの中で、頭を抱えて喚き散らすジェームズ・ドボンの肩をシチローが苦笑いしながら、ポンポンと叩いた。


「君の探しているそのIDっていうのは、コレの事かな?」


「Oh!それ、私のネ!」


ドボンは、まるで神様を見るような表情でシチローにすがりつくと、嬉しそうにIDの方へと手を伸ばす。


「おっと!……これを返す前に、ちょっとオイラ達の質問に答えてくれないかな?」


ちょうど、ドボンの手が届かない距離までIDを引っ込めると、シチローは勝ち誇ったような口調でそう言った。


「質問だと?一体お前達はナンナンダ?」


「オイラ達は探偵だ!」


「探偵?……ワタシは浮気なんてしてないぞ?」


「テメェ~!探偵をナメてんのかっ!」


やはり、世の中の探偵に対する印象というのは、得てしてこんなものであるようだ。


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