チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~
そして、今夜この店にはもうひとり…顔馴染みな人物が居た。
「おや…?暫く来ないうちに『間接照明』なんか入れちゃって~ニクイねマスター♪」
「え?そんな物は入れてないけどな…」
シチローの言葉に、マスターが不思議そうな顔で首を傾げる。
「だってほら、あそこ光ってるじゃない?」
シチローの指差したカウンターの奥の方を、横にいた子豚達も不思議そうに凝視していた。
「あ…動いたわ…」
すると、間接照明だと思っていた塊が、ぬぅ~っとボトルの影から浮き上がった。
「誰が『間接照明』だ!誰がっ!」
そこには、カウンターの一番奥で、アーリータイムスをロックで煽っていた尊南アルカイナの羽毛田尊南が、スキンヘッドを真っ赤にしながらシチロー達を睨みつけていた。
「羽毛田だったのかっ!」
「まあまあ~ボス♪
『ミラーボール』って言われなかっただけでも良かったですよ~(笑)」
「フン!『アーリー』もう一杯だ!」
まるでフォローにもならない言葉を羽毛田にかけるゆみの台詞の『ボス』という部分に、シチローは首を傾げる。
「あれ?今、羽毛田の事『ボス』って言わなかった?」
「何だ?お前達、知らなかったのか?……ゆみはウチの精鋭部隊のメンバーだぞ!」
当たり前のようにそう語る羽毛田の言葉に、シチロー達四人は目を丸くして驚いていた。
「えええ~~~~っ!」
「そうっ♪今後とも宜しくね、チャリパイの皆さん(笑)」
四人に向かってニッコリと微笑むゆみの可愛らしい笑顔は、どう見てもテロリストとは無縁の美しい笑顔だった。
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