チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



「ま…まさしくこれは………」


間一髪で子豚から取り上げたノートの1ページ目を広げ、シチローが震える声で叫んだ。



「間違いない!これ、レノンの楽譜だよ!!」



五線譜に、少し乱暴な手書きの音符が羅列してあるその楽譜の一番上には、ビートルズのアルバムには入っていない未発表曲のタイトル。そしてその横には、音楽雑誌で見た覚えのある『John Lennon』のサインが書き連ねてあった。


「どれどれ……なる程、確かにこれは未発表の曲のようだな。…音楽の方は専門では無いので音符は読めないが、この下に書いてある詞は初めて見たよ」


シチローからノートを渡されると、涼風が感慨深い顔でそんな事を呟いた。



ついに、あの幻の楽譜がシチロー達の目の前に現れた瞬間だった!










「おねぇちゃあん~アンパンマンはぁ~?」


ほっぺたを膨らませて、女の子が子豚の袖を引っ張った。


「あっ…そうだったわ……アンパンマン描くんだったわね……」


困った表情で涼風の持つ楽譜を見つめる子豚。


まさか、ジョンレノンの幻の楽譜にアンパンマンを描く訳にはいかないだろう。


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