チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~


『天敵』と言っても、チャリパイとアルカイナはいわば『喧嘩する程仲が良い』といった類いであるから、この場で取っ組み合いが始まるという訳では無い。


「そういや、ゆみちゃんロンドンに行ってたんだって?」


バーボンベースのカクテルにひと口つけた後に、シチローがゆみに向かって切り出した。


ゆみの大学での専攻は、英文科である。


それ故、本場の英語を肌で感じ慣れ親しむ為に、ゆみは夏休みを利用しておよそ1ヶ月の間イギリスのロンドンへとホームステイ研修に出掛けていたのだった。


子豚が、羨ましそうに呟く。


「いいな~♪私達なんか、パーティーに呼ばれた先で『殺人事件』が起きて大変だったのよ!」


「詳しい話は『チャリパイ13』を読んでね♪」




はっきり言って、宣伝である。








「ロンドンでの土産話とか面白い話あったら聞かせて欲しいわね♪」


てぃーだが、そんな事を言ってゆみに微笑みかけると、ゆみはまるで秘密の話を打ちあけるかのように、少し声を潜めて雰囲気たっぷりにこんな事を語り始めた。





「この話は、ロンドンでお世話になった音楽関係の仕事をしている、あるイギリス人に聞いた話なんだけどね……」



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