チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



駅のホームに立つ乗客達は、大幅に遅れている地下鉄のダイヤに少し苛ついた様子で、次に到着する予定の電車を待っていた。


「まったく…いつになったら来るんだよ!次の電車は!」



そんな不満を呟きながら、電車が来る方向の線路を眉間に皺を寄せた顔で見つめるサラリーマン。


丁度その時、線路の遥か向こうからは乗客達の待ち望んでいた二つの前照灯の光が近付いて来るのが見えた。



「やっと来たよ……」



安堵の表情で、ホッと溜め息をつきその光を見つめるサラリーマン。


しかし……その光が近付くにつれて、サラリーマンの安堵の表情は驚愕のそれへと変わっていった。




「なんだあぁ~!ありゃあ~!」





ホームに近付いて来たのは地下鉄では無く、ガタガタと車体を小刻みに揺らせながら線路の枕木の上を走る、どこぞの運送屋のトラックであった。


ホームの前で止まったトラックの運転席からは、満面の笑みを浮かべたシチローがサラリーマンに話しかけてきた。



「乗りますか?
あいにく荷台しか空いてませんけど♪」



「い…いえ…結構です…………」



そして……呆然とした顔で乗客達が見守る中、シチロー達を乗せたトラックは地上へ向かって走り去って行った。


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