チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~
「そうそう!この間運んで頂いた本で『落丁』している本があったみたいなんですよ…」
思い出したように切り出す耕太の言葉に、運転手は顔を歪めた。
「落丁?」
「整理してたら、ページが一部落ちてきて…これなんですけど…」
耕太は、その時の紙を見せた。
運転手は、その紙を受け取るとそれをじっと眺めてこう言った。
「これは『譜面』みたいだな…変だな…前回は音楽の本は持ってきてない筈だが…」
それを聞いて、用事が済んだ図書館をあとにしようとしていたシチロー達の耳がピクリと動く。
「何、譜面だって?」
「ちょっと耕太君!よかったら、それ見せてもらっていいかな?」
興奮した様子で耕太のもとへ駆け寄るシチローを不思議そうな顔で眺めながら、耕太はその譜面のページをシチローに手渡した。
「一体どうしたんです?そんなに慌てて…この紙がどうかしたんですか?」
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