チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



それまでの大騒ぎが嘘であったかの様に、森永探偵事務所の空気は重苦しい雰囲気に支配されてしまった。


「チビちゃんが誘拐されたにゃ!」


メイが悲痛な叫び声を上げる。


「………」


突然の出来事に言葉を失うチャリパイとアルカイナのメンバー。


あの昼間の銃撃からも分かるように、目的の為には何をするか解らないMI6の事である……朧の娘の安否が心配なところだ。


「どうして私の娘がこんな目に!」


不条理な仕打ちに怒りを露わにする朧。しかし、その怒りをどこにぶつけて良いのか解らぬまま、朧はすがる様な眼差しでシチロー達の事を見つめていた。










「また、庶民に逆戻りね…」



暫くの沈黙を挟んで、そう呟いたのは、てぃーだだった。


「チビちゃんの命には代えられないわね…」


続いてそう呟いたのは、アルカイナのゆみ。


その言葉に、セイやメイ、シン、そしてサトが頷く。






「しょうがねぇな…まったく…」





羽毛田が髪の無い頭をボリボリと掻きながら、そんな事を呟いた。




とてもテロリストとは思えない人道的な台詞である。


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