チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



 AM11:50 〇〇埠頭…



「この辺りだよな…取引の場所って」


メモで指定された埠頭に到着したシチロー達は、MI6の居る倉庫を探す為キョロキョロと辺りを見回すが、その建物はすぐに特定出来た。


「シチロー!あの車!」


てぃーだが指差したその先には、こういった場所には何とも不釣り合いなイギリス製の高級スポーツカーが一台、そしてその車を取り囲む様に、数台の装甲車が止まっていた。


「わっ♪カッコイイ外車♪」


「『アストンマーチン』か…恐らくジェームズの『ボンドカー』だな…」


「でも、『ボンド』じゃなくて『ドボン』だから、『ドボンカー』じゃないの?」


「カッコ悪い名前ね…それ……」


映画でおなじみのボンドカーは、水中を走ったりリモコンで動いたりと様々な驚きの仕掛けが施されているのだが、このドボンカーはどうなのだろう?


「とにかく、中に入ろう!」


そのシチローの言葉を合図に、建物の入口を睨み付ける全員の顔に緊張が走った。


時刻は正午を差し、いよいよ取引の開始だ。


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