チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~
倉庫の重い扉を開きその中へ足を踏み入れると、そこにはジェームズ・ドボンを中心としたMI6の工作員達がずらりと並んで、シチロー達の到着を待っていた。
「さすが日本人は、時間に正確ネ♪」
余裕の表情でドボンが笑みを浮かべる。
ドボンの左右には、部下であろうスーツ姿の工作員が十人。その一番端の男の傍には、ロープで腕を縛られた人質である朧の娘が居た。
「あっ!お絵描きのおねぇちゃん!」
「チビちゃん!大丈夫よ!お姉さん達が絶対助けてあげるから!」
「アンタ達!こんな幼い子供をロープで縛る事無いでしょ!」
チビちゃんを励ます子豚とドボンに怒りをぶつけるゆみ。
「大事な人質なものでね♪逃げられても困るネ♪」
「フン!…人質取るなんざMI6も地に落ちたもんだな。『ショーン・コネリー』はひいきの役者だったが、もうこれっきりだ!」
初代『007』のショーン・コネリーの名前を出して皮肉を言う羽毛田に対し、ドボンは口角を上げて答える。
「何とも古い話ネ♪
『目的の為には手段を選ばず』これが新しいMI6のやり方ネ♪」
「まったく……まるで、テロリストだな…………」
「おいシチロー!
あんなのと一緒にすんなよ!俺達ゃ~あ~ゆう卑怯なマネだけはやらねえんだよ!」
昨日まで楽譜を横取りして逃げようとしたくせに、よく言えたものだ……
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