チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~
「なんか、元気なさそうだね…ドボン」
ドボンの異変に気が付いたひろきが、心配そうに呟いた。
「やっぱり、涼風さんのアレ、まずかったんじゃないの?」
「う~む……あれでは私の作品が良すぎて、肝心のレノンの作品が霞んでしまうのかなぁ?」
張本人の涼風は、事の重大性に全く気付いていない様である。
「あぁ…神の御慈悲を……」
額から流れ落ちる脂汗を大事なノートに落とさないように気をつけながら、緊張の面持ちで譜面の続きをチェックするドボン。
やがて……レノンのノートから顔を上げたジェームズ・ドボンのその表情は……
深い絶望感に包まれていた。
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