チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~
幻の名曲



『子供の絵満載』の楽譜を見たジェームズは、もはやそれを英国の国有財産にする事を断念せざるを得なかった。



「こんなん、もうただの『紙くず』や……」


呆然とした表情で、そう呟くドボン。



しかし、なぜに関西弁……?



「聞いた?
あれ、もうそんなに価値が無くなっちゃったみたいだよ?」


あのレノンのノートの価値が、そんなにも暴落するものだろうかと不思議そうに首を傾げるサトとシンに向かって、セイがこんな事を言った。


「芸術品という物は、得てしてそういう物なのよ……完璧な保存状態の物とほんの僅かでもキズのある物とでは、その価値に雲泥の差がつくのよ」


「ましてや、女王陛下の肝入りであるこのプロジェクトだからね……あんなの持って行ったら、ドボンは即刻クビだよ……」



視線の向こうで頭を抱え、ガックリと肩を落とすドボンの姿を見ていると、敵ながらもちょっと可哀想な気がしないでも無い。


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