チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



「ではこれから、楽譜を元にデモテープを作成する!」


ドボンの合図に従って、ラノンが動き出す。


手書きのオリジナルノートから読みやすくパソコンで打ち直した譜面をスタンドに立て掛けて、その前に置かれた椅子に座りギターを抱えるラノン。


現れた時には、モノマネ芸人の様な軽い印象だったジョン・ラノンだが、いざギターを持って楽譜の前に構える姿を見るとそれなりにミュージシャンらしく見えてきた。


まるで、本物のレノンのライブを最前列で見ているような錯覚に陥ってしまう。


観客は僅かに二十人余り。


大きな歓声も無ければ、眩しく輝くスポットライトも無い。


そんな静寂の中、やがてラノンは静かにギターをつま弾き始めた。




~♪~~♪♪~♪~




それは、マイナー調の静かなイントロだった……


「素敵な曲ね♪」



セイが穏やかに呟いた。


< 78 / 91 >

この作品をシェア

pagetop