チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~



そんな、《最悪なクリスマス》から、既に三週間程が経過したある日の事である…



新年を迎え、事務所でのんびりとくつろいでいたシチロー達の所へと、少し興奮した様子で羽毛田がやって来た。



「おいシチロー!
これ見たか!これ!」




そう言って、羽毛田がテーブルの上に広げた一冊のある音楽雑誌に、シチロー達四人の目は釘付けになった。






「えええぇぇぇ~~っ!ホントかよ~~これ!」





そこに書かれていた内容とは…















《あのジョン・レノンの未発表曲デモテープが存在していた!》


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本国イギリスで発見されたというそのデモテープは、ファンからの熱い要望に応え来月初旬にもシングルCD化が決定。




発売に先立ってその曲を試聴した音楽プロデューサーの話によれば、あの名曲《イマジン》に勝るとも劣らない最高の仕上がりであったという。

発売が待ち遠しい限りである。



プロデューサー《ジョニー・ハドソン》氏の談話


『レノンが我々人類の為に最後に残してくれたこの曲は、戦争の愚かさ、平和の尊さ、そして命の尊さを存分なまでに感じさせてくれる遺作である。
改めて聴くレノンのあの伸びやかな歌声には、懐かしくて思わず涙が溢れ出してくる。

曲のバックに流れる激しい銃撃の効果音は、斬新でありリアルな戦争の悲惨さを訴えるに充分なレノンのアイデアであろう。
今世紀最高の名曲のひとつとなる事は間違い無い!』












「…だってさ……」



「ホントに、知らないって事は恐ろしいねぇ……」






 ☆おしまい




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