チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~
『黄昏の詩人
涼風 拓』
決して超豪邸という訳では無い……しかし、隅々に渡るデザインにはこだわりの見られるその家の表札には、そんな文字が刻まれていた。
「ここが涼風さんの家。…くれぐれも言っておくけれど、決して失礼の無いようにね!」
まるで、子供達を引率する先生のような口調で、シチロー達の方へと振り返り念を押すてぃーだ。
「は~~~い♪」
満面の笑顔で声を揃える三人を見ると、てぃーだは不安な表情のままに備え付けのインターホンに手を伸ばした。
♪ピンポーン
「こんにちは、涼風さ…」
「やあ!ティダじゃないか♪」
てぃーだがその言葉を言い終わらないうちに、玄関のドアが勢い良く開き、中から出て来たのは、三十代半ば位の細身の男性だった。
「今な、知り合いから頂いた魚を焼いているところだ。良いところに来た。さっ、入って、入って!」
涼風はそう言うと、てぃーだの背中を押しながらせわしなさそうにシチロー達にも家の中に入るように促す。
「あの…涼風さん…この三人は、アタシの……」
「紹介は後だ!魚が焦げてしまうっ!」
(なんともせっかちな人だな…)
初めて見たシチローの涼風に対する印象は、こんな感じだった。
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