先輩&後輩
当たり前だが、すでに一組の人たちは並んでいたので、
後ろの空いている席に座った。
「はあ、まにあった。」
式には間に合ったらしく、壇上を見ると校長の話が始まるところだった。
校長の話は当然長かった。
周りを見ると一部が夢の世界に旅立っていた。
「校長先生、ありがとうございました」
司会の先生らしき人が、次の演目を読み上げる。
「続いては、新入生代表の言葉比良野嘉穂璃さんお願いします」
「はい」
一人の女の子が立ち上がり、壇上へと歩いていく。
「……暖かな春の訪れに……」
すらすらときれいな声で比良野嘉穂璃は読みだした。
ぼーっとしながら聞いてると、隣から話し声が聞こえてきた。
「あの、比良野さんって全国模試常連らしいよ」
「まじ?俺はスポーツで全国常連てきいたけど」
「えー、書道の達人じゃないっけ?」
いろいろな噂が飛んでいるらしく、隣は楽しそうに盛り上がっていた。
確かに、なんでもできそうな雰囲気がある少女で、同い年とは思えなかった。
「以上で、終わります。新入生代表比良野嘉穂璃」
比良野さんは礼をして、さっと壇上から去って行った。