チキン彼氏を救出せよ!!
「護身用よ、護身用。」
ね、と無邪気に笑う坂城。
「だからっ…なんで俺が…」
「なんでって…あんたの彼女のためじゃん。」
坂城は当然のように言った。
莉央のため?
どうして、ここで莉央が出てくるんだ?
俺がしばらく考え込んでいると、坂城はやれやれと首を振る。
「これだから平和主義くんは駄目なのよ。」
「は……」
「あんた小田切悠梨を甘く見すぎ。
あの女が、歯向かってきたあんたの彼女にちょっかい出さないと思う?」
坂城は冷たい目をして言った。
俺は、その目に寒気さえした。
…………まさか。
莉央は……。
「あんたには絶対言ってないと思うけど、あたしと同じくらいのことは、されてる。
だからね、渡部。
それを回避するには、これしかないの。」
…………。
「本当に、そうなのか?」
…莉央は、この半年、なんの変わりもなかった…はず。
動揺する俺を、フッと軽く笑う坂城。
「女は、あんたが思うほど弱くないのよ。」
と言って。