チキン彼氏を救出せよ!!


「あたし?
ただの中学生だよ?」


そう言った宮間、声まで女子になれるから、すごいよな。


すっかり気が動転したらしい蒔田は、口をパクパクさせている。


「……ん、あれ?
蒔田、今日は連れいたの?」


蒔田の隣りには、見慣れない顔の男が、ぼけっとした顔をして立っていた。


「あ?
あぁ、ダチだよ、俺のな。」


蒔田は意気がってそう言った。


「ふーん…名前は?」


「白石。」


蒔田はポンと白石の肩を叩き、自慢げに言った。


そんなやり取りの中でも終始無言の白石。


蒔田みたいにガッチリ制服を着てるわけじゃないけど、少しおどおどしていて、ひ弱な感じ。


そんな白石が不意に口を開く。


「…………可愛い、あの人。」


ボソッと、小さな声で一言だけ言った。


白石の視線の先には、広瀬がいた。
勿論、男だ。



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