チキン彼氏を救出せよ!!


「あ…あれしゃべった、あの鶏しゃべった!!
渡部、ここドコ?
とか言ったんだけど!!
なんだよアレ!!
そこんじょそこらのホラーより恐いんだけど!!」


渡部くんは珍しくベラベラベラベラしゃべった。


それだけびっくりしたんだろう。
つーかあたしも、びっくりし過ぎて今にも倒れそうなだけどさ。


「と…とりあえず、冷静になろう。
三人でもう一回、見に行こ。」


由宇くんが私と渡部くんの腕をひき、恐る恐る鶏に近付いていく。


「…おい、お前…白石なのか?」


由宇くんが鶏にそう言うと、鶏は少し首を傾げて、


「…そうだよ?
なんでみんな、いきなりギャーギャー逃げるの?」



と、少しだけ悲しそうに言った。


てか、鶏だって、気付いてないのかな…。


「だって白石くん、鶏なんだもん。」


そう言うと鶏は、えっ?と驚いたように目を見開いて、恐る恐る自分の立派な羽を見た。


そして……。


「ぎやぁぁぁあああっ!!」


そう言って、バタッと倒れた。



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