チキン彼氏を救出せよ!!
そんな蒔田那央の心境などまったく知らない南野莉子は。
蒔田っていい奴じゃーん♪
とか呑気なことを考えていた。
「あ……。」
噂をすれば、
あたしの少し前には白石拓斗が歩いていた。
「しらい…うぐっ!!」
誰かにタオルで口を押さえられた。
「み…南野さん、
あいつ、大声で呼ばれんの苦手だからさ、もっと近くで呼ぼ?」
背後から聞こえる声は蒔田那央のものである。
まぁ…蒔田が言うならそうしなきゃ駄目だよね。
あたしが首を縦に振ると、蒔田はパッとタオルを取った。
「よし。」
そう言って蒔田はニコッと笑った。
蒔田那央…。
なかなかのイケメンだ。
まぁ、白石君にはかなわないけど。
きっと麻耶も蒔田のこと、好きになると思うな。
「…南野さん、なにニヤニヤしてんの?
俺に惚れちゃった?」
蒔田はサラッととんでもないことを言った。
「なっ…………」
ち…違うわい!!
てゆーか、てゆーか、蒔田ってどんだけ自分に自信あるんだし!!