チキン彼氏を救出せよ!!
その頃の彼はというと。


「……と……拓斗!!」


「え?」


拓斗は呆然としていた。


「な…んだ、那央か。」


ちなみに俺は蒔田 那央(マキタ ナオ)。
拓斗は昔っからの幼馴染みで、彼の秘密も、もちろん知っている。


「どうした?」


「へ?
あ…あぁ、なんか、女の子が物凄い勢いで去ってったから……。」


そう言って寂しげな表情を浮かべる拓斗。


うーん…
確かにコイツには体感したことのない出来事だな。


拓斗は世間ではイケメンと呼ばれるような奴で…

まぁ、不思議なことに本人は全く自覚していないんだけど。

だから女子に付き纏われるのが当たり前、みたいな。


だからさぞやショックなんだろう。


「そうか…可哀相に。」


俺がうーんと唸りながら拓斗の肩をポンポンたたくと、


「……あんなの、初めてだ…。
あんなに、可愛いと思った女の子は…。」


ん?


なんか、変な方向にずれてないか?



< 3 / 131 >

この作品をシェア

pagetop