チキン彼氏を救出せよ!!
「……え?」
俺が気の抜けた返事をしても、拓斗は目をキラキラさせていた。
今の拓斗の視界に俺、完全に入ってないよ。
あーあ。
これ完全に、きたわ。
「あの、美しい黒髪……
クリッとした目……
そして、あの礼儀正しさ………」
「あの……拓斗?」
「そしてなにより!!
あの、初々しさ!!」
「聞いてんのか、おい」
「これこそ、キング・オブ大和撫子!!」
拓斗は大声を張り上げ、ガッツポーズ。
もちろんここは下駄箱なので、沢山の人がいる。
そのため、かなりの視線を浴びるはめに。
「あちゃー……。」
俺は頭を抱えた。
また、やりやがった…。
拓斗の恋愛癖…。
それは、大和撫子に弱い。
そして、恋をすると叫んでしまう。
そのくせに、本人にはアピール出来ない……。
ので他の男に取られ玉砕する残念な奴……。
やつは、悪質なチキン野郎だ……。