チキン彼氏を救出せよ!!
わたあめの背中の文字に気付くはずもない先生は、
「じゃあみんなが漢字わかったみたいだから説明するぞー!!」
とか調子乗ったことを言う。
「アホじゃねーの、このクラスの担任。」
蒔田がボソッと呟いた。
たしかにアホや。
多分今誰もがそう思ってるよ。
「俺は今日この学校の校舎内に9つの宝を隠した!!
それを今から俺が決める班ごとに探してきて貰いたい。」
ふふんと気取った口調の先生は、楽しそうに教室をウロウロしながら席順で班を決めていった。
「おし、じゃあ蒔田と綿縞と渡部と北野で1班な!!」
先生は大声でそう言ってあたし達の席のあいだをとうり抜けていった。
しつこいようだけど、
あたし、北野じゃないからね。
どんだけ物覚え悪いのあの先生。
お陰でツッコむ気力もなくなったわ。
「よろしくな北野。」
蒔田はニヤニヤしながらあたしに言った。
…自分は正しく呼ばれたからって…。
「調子乗るなよ。」
ゲシッ
「あがっ…弁慶…」
蒔田は泣きそうな顔して足を押さえた。
「あー、まきなおずるい!!
莉子、あたしもー!!」
「どんだけMなら気が済むんだてめぇはよー!!」
言っても無駄なんだけど言わずにはいられなかった。