チキン彼氏を救出せよ!!
「…だーるーいー。」
蒔田が足に氷袋をくくり付けながら言った。
なんで氷袋かって?
あたしの蹴りで腫れちゃったんだと。
「まぁそう言わず頑張ろうよ。」
ドMわたあめはなんだかんだ乗り気で、さっきからキョロキョロ宝箱を探している。
そして…。
あたしの後ろには、さっきから1言も話さない渡部くんがいる。
この人は無口なのか?
「あ、そうだ。」
先頭を歩いていた蒔田が急に振り向いた。
「渡部、お前って…もしかしてあの渡部?」
あの?
あのって何?
何者だ渡部くん!?
「…………。
蒔田那央か。」
ボソッと渡部くんが初めて喋った。
しかも蒔田を睨みながら。
えええ
見た目大人しそうだったのに、
今チンピラみたいな顔してるぞ渡部くん!!
「やーっぱ、そうだ。
渡部弘隆(ワタベ ヒロタカ)、お前なんでそんな姿なの?」
あらなかなかカッコいい名前じゃない渡部くん…
じゃなくて!!
「あのー蒔田、
全く話が分からないんですけど、どうしたんですか?」
あたしは恐る恐る蒔田に聞いてみた。
すると、蒔田はよくわからない表情で言った。
「コイツ、中学のとき超有名だったヤンキー。」
………………
なんですと?