チキン彼氏を救出せよ!!
「あぁ…それは、
かくかくじかじかで…
かくかくじかじかだったからだよ。」
あたしは先ほどの出来事を後ろ向きに歩きながら渡部くんに説明した。
「へぇー…。
全然気付きませんでした。」
納得したような顔で渡部くんは頷いた。
あなたの前の席に座っていたのに何故気付かない?
とか思ったけど聞けなかった。
だって…
すっごく頷いてるんだもん…。
「わかった、わかったから頷くのやめて!!」
「え?
あ…すみません。」
渡部くんは無自覚に頷きまくっていたらしく、言われてからはピタッと止まり動かさなかった。
「俺も疑問だったんだよなー、いつも注意すると頷きまくって…」
突然会話に入ってきた蒔田はそこまで言うと、
「あ…
ごめっ…つい…。」
と、口ごもりながらも謝った。
蒔田…人のこと言えないじゃん。
「まきなお、人のこと言えないじゃん!!」
…ん?
おかしいな、あたし、口に出したつもりないの……
に…?
あら…?
でも、あたしは蒔田って呼ぶし、まきなおって呼ぶのは……
あたしは思いっきり後ろを向き睨む。
そこには案の定、
「キャハッ!」
楽しそうな顔するわたあめ…。
なんでそう…
「お前は話をややこしくするんじゃボケーーーーーーー!!」